こころ


ニップ イン ジ エアーを始める上で、'Nip的なもの'とは何か、という定義をしたく、そのリサーチからスタートした。民藝的な美的感覚を基礎に据えているとはいえ、現在、そして未来の時間軸と、ファッションや衣服、カルチャーという工芸品とはまた異なる軸がそこに加わるため、ある程度リサーチと定義をした上で編集していく作業が必要になる。

主題に置いたことは、「衣服と身体の間にある空間、または曲線、それらから生まれる感情」「海外文化の影響」。

前者については日本の民族衣装である着物の、生地効率を優先した結果、身体に寄り添わない平面的なパターンが定着し、ルールはあれど男女問わず近しいシルエットになり、動作、所作が限定されることや、身体を覆い隠すほど生地の分量を用いることで身体の美しさをかえって際立たせたヨウジヤマモトやイッセイミヤケ、もしくは身体と離れた彫刻的なシルエットによって身体とは何か?衣服とは何か?と問題提起を起こしたコムデギャルソンの服を基礎としている。

後者については、言わずもがな、いまセブン・イレブンのコーヒーを飲みながらiPhoneとMacで仕事をして、背景にはElliott Smithの名盤"Either/Or"を流しながら漢字とひらがなとカタカナとローマ字で文章を書いていることだけで説明は十分だろう。そうして、それらの主題をもとに最初のセレクションが決まった。

NP-1 (Nip MA-1) & Big-E 4 Pocket Skirt by Tokyo Designer

様々なカルチャーの象徴であるMA-1、アメリカ空軍のフライトジャケットと、同じくアイコンと化している5ポケット・ジーンズ。これらをNipする。


Olive, Black, Ecru

MA-1は極端に肩幅と身幅を取り、ドルマン・スリーブ調のセットイン・スリーブにすることで、アームホールに生地のもたつきが生まれる。着物を着たことがある人は、すぐにあの袖下の布のもたつきを思い出すことだろう。表情はオリジナルのMA-1を踏襲し、裏地はウォッシュをかけたヴィンテージ調のコットン。ドレープを生み出すため、中綿はうすめ。

Blackもあります

一方デニム・スカート。カントリーなフレアスカートが一般的だが、潔い着物的な直線シルエット。ストレッチのないデニム生地によって歩幅は制限され、階段もすこぶる登りづらい。その一方で歩き方はすり足になり、背筋は伸びる。急ぐことはなくなり、心に余裕が生まれる。おそらく男性がスカートを履いていれば一瞬ギョッとされることはあるだろうが、凛とした心で闊歩してもらえる空気は漂っている。身と心が引き締まる。


ニップ イン ジ エアーの服を纏うことによってお洒落になったり幸せになったりするかどうかは分からない。ただ、服を好きな人が対話や着ることを通してより深く服や人、心と向き合うことのきっかけにはなることをこころより願っている。

取り戻したいのは心。



イタイ


現在、11/28(金) ~ 12/14(日)の期間の予約を解放しております。ご訪問希望は、お日にち、お名前、人数、お電話番号を明記の上、InstagramのDMもしくはarigatou@nipintheair.comまでご連絡ください。住所は神宮前になります。ご連絡をいただいたのち、詳細な住所をお送りいたします。

どうぞよろしくお願い申し上げます。