少しぎこちない関係性

 

家具を買うのは、自分の好きなフォルムや質感、ムードを近くに置いておくためだ。逆を言えば、自分の好きでないフォルムや質感のものは例えティッシュだろうと歯磨きだろうとパンだろうと買わない。毎日目にするものが、口にするものが、今の自分を形成しているからだ。他人の好みは、案外受け入れられるけれど。


ニップ イン ジ エアーに置いてある、アルミのベンチ。倉俣史郎や川久保玲、フィリップ・スタルクに通ずるミニマルかつコンセプチュアルな造形。一応2人掛け、ということになっているのだが、2人並んで座るとその間に腕の肘から下くらいのスペースができる。近くも遠くもない、少しぎこちない距離感。社会秩序において自由な距離を取りやすい(軽くて持ち運びしやすく、あらゆるシチュエーションに対応する)パイプ椅子という存在からインスパイアされ、どこに座ってもいい少し長めの座面に背もたれを2点付けることでやんわりと座る位置を強制している、とのこと。

その工業的なメタルの座面は拒絶しているような印象を与える一方で、優しそうで優しくない間抜けな背もたれのフォルムは、どこか懐かしさと親しみを感じさせる。


Pipe Bench by Osaka Artisan

ここがそういう空間になったらいいなと思いました。


イタイ


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